4kaku design

マーケティングを勉強しているWebデザイナーのノート

WCAN 2014 Summerに参加しました!
セッションごとにレポートをまとめます。

WCAN 2014 Summer


Session1.
ディレクターとして意識スべき、「誰がどうみてもそうとしか受け取れない文書」術


ディレクターの一番重要な仕事はジャッジすること

株式会社サービシンクの名村 晋治さんから、制作メンバーやクライアントさんとの情報共有や日々のやりとりで気をつけるべきことのお話でした。

ディレクターの仕事について解釈は色々ありますが、最も重要なのはジャッジ(決定)をすること! だから、マークアップやデザイン、サーバーサイドの知識が必要になる。名村さんは今でもハンズオンのセミナーを受講されるそうです。
また、ジャッジをしたあとはお客さんや制作メンバーに連絡をしなければなりません。そのための文章術を今回ご紹介いただきました。
伝わらない文書しか書けないと…アウトプットが自分の意図からずれたり、作り直しになったり、時間だけが過ぎていきます。これが続くと制作スタッフのQOL低下につながるそうです。

ダメな文章はなぜ生まれるのか?

指定しているファイルや用語がどれかわからない!

  • 何を示しているか不明(URLやファイル名など)
  • ローカルな短縮語、省略語を使う
  • 具体的っぽいけど間違った単語を使う
  • 指定が曖昧(〜できそうなもの、〜っぽいもの)など

「何が」欲しいのかわからない!

「空気を読む」という方法が通用するのはリアルタイムだけ!半年後にもわかる文章が真に分かりやすい文章です。「主語」「述語」を明確にすることがわかりやすい文章を書くための第一歩。

正式な名称を書くのを面倒くさがる心がわかりにくい文章を生むそうです。JavaScriptを「Java」と略してしまったり(これはそもそも間違いなんですが)、Webを「WEB」と書いてしまうと、分かっている人には大いに疑われるので気をつけましょう。

わかりやすい文章を書くために気をつけること!

思考を文書化するために気をつけるのは、「見出し」「段落」「リスト」の表示と整理をすること。HTMLの文書構造を思い浮かべるとぴんと来ますね。セマンティックな記法は人間にとってもわかりやすいのかもしれません。

書きやすいツールを使う

Backlog やTrac wikiを使うなら、wiki記法と単語登録を組み合わせて使って頭を使わずに済むようにしましょう。(サンプルを見ていたらMarkdown記法を思い出しました)

Macならtextexpander(複数行に対応しているMac用単語登録ツール)がおすすめだそうです。さっそく議事録のフォーマットやメールの定型文を登録したいです。

ドキュメントの基本的な書き方

  • 必ず「要件」を書く。なぜそれを作るのか?行うのか?を明確に
  • 第三者が見て「満たさなければならない要件」を理解できるようにする
  • 内容は具体的に!

言葉遣い、単語使いの注意点

  • 断定的な文書にして、はっきりと言い切る!
  • 後で読む人が「目上」か「目下」かわからないので、あらたまりすぎない
  • 「一文字も間違えていない正しい名称」を書くこと(「大枠を書いているんだからわかるでしょ?」というのは甘え)
  • 特定の画面のことを伝えるなら、URLを添えないとわからない
  • 「微妙」「いまいち」といった言葉は避ける

「誰が見ても分かる文書を書く」ということ

  • メールや管理ツール上の「件名」で8割わかる内容を簡潔に書く
  • 背景、概要、事情を冒頭に記載し「なぜ作るのか」を明示
  • どのURLのどの画面のどの部分にどういったものを作るのかを具体的に明示
  • 何も知らない人相手でも、通じる文章を丁寧に書く

最後にディレクターとしての勉強の姿勢についてのお話もありました。「脳の中で使える知識にする」ためには、後でスライドを見直すよりも自分で整理しながらメモする方がいい!とのことです。最近は悪い意味でセミナー慣れしてしまって、スライドを見ながらブログを書いてしまうので反省しました。スライドの作り方も、PowerPointのアウトライン機能を使って構造的なスライドを作るのが重要とのことです。ついつい飾りたくなってしまうので自戒します。

Session2.
長崎・福岡・東京 それぞれの都市から学んだ これからのWebで大切なこと

2セッション目は株式会社Fablicの山口 有由希さんが、ご自分のワークスタイルと製品のユーザーインタビューについてお話をしてくださいました。お話を聞くのは2013年2月の「「Girls’ Talk!!」Talk Note with CSS Nite in NAGOYA」ぶりでした。個人的に山口さんは地方住まい女子Web屋の星だと思っていたので、そういう方の上京に至った経緯や仕事のやり方は興味深かったです。

地方の企業が東京の制作会社にWeb制作を頼んでいる現状

太宰府天満宮

福岡で暮らせる幸せを噛みしめつつ、地方の企業が東京にWeb制作を依頼している現状を疑問に思っていたそうです。答えを見つけたのは太宰府天満宮の宮司さんのインタビュー。13年ぶりに太宰府天満宮のWebサイトをリニューアルするにあたり、地元福岡の制作会社と面白法人カヤックのコンペ一騎打ちに。イメージにぴったりのモックアップを作っていた制作会社に対し、コンセプトだけを出してきたカヤックさんが選ばれました。なぜかと言えば「自分たちに思いつかないものを生み出さなくてはならないから」というトップの方のお考えがあったからとのこと。

山口さんには、コンセプトやサービスが生まれる東京では何が起きているかを見てみたいという思いがあったそうです。

東京でのお仕事

ITに詳しくない女の子をメインターゲットに据えたフリマアプリ「Frill」の開発(UIデザイン)をされているそうです。
Webの世界で働いている人間では当たり前のことでも、その当たり前が通用しない層をターゲットにしているからこそ、鍵になるのは「ユーザーインタビュー」。既存のユーザーは機能を増やしていけば喜んでもらえますが、新規ユーザーにとってのつまづく段差を見つけることも重要。案外ダウンロードするところから難しかったり、そこでつまづいてしまうユーザーがいるのは目から鱗でした。Frillの開発チームが男性ばかりだからこそ、ユーザーインタビューとテストを大切にするのかもしれません。

ユーザーインタビューの基本ルール

  • ユーザーにお題目だけ提案する
  • 思ったことをすべて発話してもらう
  • ユーザーがゴールだと思った時点でやめてもらう
  • ユーザーが発話したことで不明な点があれば確認する

バナーデザインのイメージ調査を行った際、一般的には「上品で洗練されたイメージ」の明朝体や、スタイリッシュな印象を狙えるオブジェクトの斜め配置がメインターゲット層の女の子たちには不評だったそうです。たしかに実地でテストをしないとわからないことです。常日頃、なんとなく「こう習ったから」「これが定番だから」という意識でデザインをしがちなので反省しました…。

山口さんが考える「業務の遂行に必要な力」

言われてみれば当たり前ですが、忘れがちなのでメモ。

観察力
自分の判断だけでものを決めない、他人の意見や動向を受け入れる
分析力
自分の中だけで完結させず、チームに共有するための力
想像力
実際に経験していなくても、「こうじゃないかな?」とイメージしてアウトプットすること

どこにいても大切なのは「常に色んな視点でものを見て、課題を見つけること」

たくさんの人とアイデアを出し合うことが大切だそうです。あとはそれができる友達作り。
自分以外の人が体験してきたことを取り込むのは大切ですよね。たしかに、自分で勉強したり作れたりするものの量は限られているので納得です。

個人的にどうしてもお聞きしたかった「趣味のサイトのアイデア出し」について質疑応答コーナーで質問ができたので嬉しかったです。たとえば、シンプルパターン研究所を作ったときは「仕事で使えるパターン集が欲しい!」という実務に沿った思いと「WordPressを勉強したい!」というスキルアップの目標があったそうです。仕事に役立つことと勉強がドッキングしているからこそモチベーションが維持できるのかもしれません。

Session3.
今、Webクリエーターに必要な5 MOST!

最後のセッションは株式会社アンティー・ファクトリーの中川 直樹さんからWeb制作者が今後も仕事をしていくために必要な考え方とキャリア観のお話。ほぼ一年前に参加した「CSS Nite in KOBE vol.2」でも心底思いましたが、中川さんのセッションはエンターテインメントですね。内容が盛りだくさんでメモが追いつかなかったので、印象的なエピソードをいくつかまとめます。

今、Webクリエーターに必要な5 MOST!

  • Webデザインの定義を知る
  • 企業、ブランドと消費者動向の関係
  • ウェアラブル・デバイス、未来の意味すること
  • テクノロジーの行く末を見定める
  • 自分自身をブランディングする

印象的なエピソード

デザインの本質の話

中川さん、亀倉雄策先生の1964年東京オリンピックのポスターをオークションで落札されたそうです。東京五輪のポスターがとても良い例で、本当に良いデザイン・良い製品は何年経っても色褪せませんし、ださくもなりません。同時に、仕事のフローやツールが変わったところで人間の生き方も変わらないということが今回のセッションの軸になっていました。

消費者はなぜワインに熱狂するのか

スーパーマーケットのプライベートブランドならワンコインで買えるワインもありますし、六本木の飲み屋さんなら定価に対して目玉が飛び出るような価格がついている場合もあります。
これはワインそのものの価値というよりは、ワインを買う・飲むという体験にお金を払っているのではないか、とのこと。ただサイトを作って納品するのではなく、お客さんのビジネスのフローを生み出すことが必要なWeb制作に通じる部分が多いというのは納得でした。

ユーザーに求められるものを作らなければならない

クリエイターとして考えなければならないのは、「仮説」と「検証」をもって問題を解決(ソリューション)すること。やった施策が面白くても、企業の名前やブランドに結びつかないようなものを作ってはいけない。たしかに、プロモーションは印象に残っていても肝心の会社名や商品名が出てこないものって結構あります。
以前は結局最後は技術(エンジニア)に頼らなければならない局面が多かったが、技術もひととおり揃った今だからこそできることがあるとのこと。

ソリューションに加味しなくてはならない3つの項目もあげられていました。

  • クオリティ・コントロール
  • ブランド価値
  • 共感

なぜデザイナーやエンジニアにマーケティングの話をするのか

中川さんのセッションは、以前はコーディングもデザインもやっていたアートディレクターから見た東京オリンピックまで働くための話です。WCANの性質上、対象者はWebクリエイターさん全般なので、必ずしも経営者やディレクター、マーケティング担当だけではありません。そして、なぜそんな制作者にマーケティングの話をするのか。

お金をかけてもらう以上、クライアントに「Webはこういうふうにあなたのビジネスに役立ちます」という説得をしなければなりません。そのとき、消費者動向を数字で見せられればぐっと説得力が増します。そのために、もっとマーケティングの基礎知識が必要とのことでした。たしかに、需要曲線やガートナーのハイプサイクルを見せられたら、より考えやすくなりそうです。

デザインの「善し悪し」と「好き嫌い」の違い

一番印象に残ったお話がこれ。日々の悩みにひとつヒントをいただいた気持ちです。

クライアントのブランディングを考えるとき、善し悪し(ターゲットはずれていないか、使っている色はおかしくないか等)は大切です。これは相手のブランドの性質に合っているかいないか、と言い換えられると思います。しかし、ここで混同しやすいのは担当者の好き嫌い。中川さんはクライアント側の担当者さんを指していたのかもしれませんが、駆け出しデザイナーとしては制作物が自分の好みに寄りすぎていないか改めて気をつけようと思いました。どちらにせよ、誰かの好みでブランドが霞むようなことはあってはいけません。

まとめ

重要なのは「自分や社会を俯瞰して見ること」。

視座(物事を見る姿勢や立場)を色んなところに持っていこう。年を取るごとに上上から見渡せるようになろう。すると、自分自身のいるべきポジションが見えてくるとのことでした。

ライトニングトークで登壇しました

私事ですが、本セッションの前にある一人5分間のライトニング・トークに今回初めて参加しました。
元ネタは「学生コンペでグランプリを穫ったWebアプリケーションの作り方」で、社会人4ヶ月目の駆け出しデザイナーとしての視点を加えて振り返っています。色々な方にお褒めいただいたので、なんとか登壇恐怖症にはならずに済みました。

スライドは後日SlideShareにて公開予定です!